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掛軸修理 | 作品の 浮き 、剥落 | 赤穂郡上郡町
掛軸は和紙に薄い糊を塗り、作品の裏側から接着する事により補強します。これを『裏打』と言います。
接着すると言えばなんとなく濃度の濃い粘度の高い糊を使えば良さそうなものですが、裏打は通常3〜4回行われるので濃い糊を使いすぎると仕上がった掛軸はゴワゴワ…もしくはパキパキ…下手するとバキバキ…と言った具合に硬く仕上がって巻きにくくなったり作品の損傷を引き起こします。その為、なるべく薄い濃度の糊で接着するよう表具師は心がけます。また濃度の濃さは将来的に掛軸を仕立替する時の難易度にも関わってくるので重要なファクターです。
掛軸作品の 浮き 、剥落
掛軸は巻いたり広げたりして使用するので長期間使用していると裏打糊の粘着性が弱まり、裏打紙が作品から浮いてくる症状が発生します。
このように掛軸の裏を見るとポコポコと膨らんでいる症状が「浮き」 です。
今回ご相談いただきましたのは兵庫県の赤穂郡上郡町にお住いのお客様でこの「 浮き 」の症状がさらに悪化し、作品が裏打紙から剥がれ落ちかけている「剥落」状態の物でした。
作品が絹本の場合に多いのですが完全に表具部分と作品部分が剥離してしまっている状態です。紙本ではこういった症状はほとんど見かけません。これは絹本の方が紙本よりも接着しづらい=裏打紙より分離しやすいから発生するのではないかと思います。
しかしまぁ…見事に剥がれてますね。素人考えでは作品に糊をつけて掛軸の台紙に元どおりに貼れそうと考えてしまいがちですが、それでは接着しませんし作品が汚れたりと余計な不具合が発生する原因となるのでなるべく自分で処置せず早めにプロの表具屋さんにご相談ください。
表装仕立替後
作品が剥がれかけていると言うことは仕立替に必要な旧裏打紙除去がほとんど終わっているような状態になるので作業をする側としてはやりやすかったです。
逆にお客様からすると分離して剥がれそうになっているというとんでもない状態なので綺麗になるとその変化に大変喜んでくれる場合が多いです。
今回も仕上がりに大変喜んでいただきました。弊社へのご依頼ありがとうございました。
上郡町で掛軸の修理の事なら是非弊社にご相談下さい。
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