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法華曼荼羅 (日蓮曼荼羅) の掛軸修理 | 高砂市
掛け軸は行事によって掛け替えられるもので仏事に飾られる掛軸を総称して「佛事掛」と言います。
各宗派によって飾られる物が違うのですが、日蓮宗の方は「南無妙法蓮華経」と書かれた掛軸を飾るのが一般的です。(「七字題目」や「お題目」等とも呼ばれますね。)
「南無妙法蓮華経」は「法華経の教えに帰依する。」という意味の7文字の漢字。「南無」は「信仰する、帰依する」という意味を表し、「妙法蓮華経」は法華経を意味します。
佛事掛の多くは佛事の時に使用されるので、どうしても線香の煙が触れたり灰が付着しやすい宿命にあります。よほどでなければそれ程掛軸に影響が出ることはないのですが、中には長時間その状態にしていた為、煤汚れやシミなどが大量に発生してしまっているお客様もいらっしゃいます。
今回は兵庫県高砂市にお住まいのお客様からそんな「 南無妙法蓮華経 」の掛軸のご相談を承りました。こちらがご相談いただいた掛軸です。
法華曼荼羅なのですが長期間仏壇の横で使用してしまっていた為にスス汚れやシミが随所に発生してしまっています。
残念なことに大切な文字の一部が欠損してしまっています。このまま放置しておくとこの欠損部分がどんどん広がっていき、取り返しのつかない状態になってしまいます。
お客様と修理方針を打ち合わせし、今回は全体の煤汚れの洗浄、シミ抜き、破損箇所の補彩を行う事といたしました。本紙が大変弱っている状態ですので慎重な作業が必要になります。
法華曼荼羅 掛軸 表装オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 (古い裂地や軸棒などを取り外していきます。)
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旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
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作品洗浄 (汚れ落とし)
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シミ抜き (洗浄では落ちないシミの除去)
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補彩 (「無」の字の部分)
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裂地選定
(今回は弊社の佛表装パターンNO.05の蓮華本仏にて承りました。)
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再表具
修理完了
こちらが修理が完了した掛軸です。見違えるほど綺麗によみがえりました。
Before → Afterで見比べてみるとその違いが良くわかります。
補彩をした欠損部分も自然な風合いでよみがえりました。
お客様は修理した掛軸をご覧になると大変喜んでくださり、また佛事の時に飾って下さるそうです。(もちろんその際は飾りっぱなしにせず季節や行事によって掛け替えていただくようご提案させていただきました。掛軸は掛けっぱなしとしまいっぱなしが良くないと昔から言われており、「軸休め」という言葉もあるほど定期的に掛け軸を交換することが大切と言われています。)
煤や灰で汚れてしまった掛軸修理のご相談はぜひ弊社までご相談ください。
掛軸のシミ抜き作業についてより詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。