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西洋画の影響による色調の変化を 高砂図 に見る!?
以前、お客様の床の間に飾られている江戸時代の高砂の掛軸をご紹介させていただきました。私が見た中で一番古くに描かれているであろう 高砂図 です。
今回は同じお客様の床の間で別の 高砂図 を拝見させていただきました。
こちらの作者は鈴木松年(1848-1918)という明治から大正にかけて活躍した日本画家。豪快な性格が有名で作風も力強さを感じる物が多いのが特徴的です。
32歳頃までは『百僊』という落款を使っていたので明治時代の作品ではないかと思われます。
以前の長安義信の描いた江戸時代の高砂と比べると随分と雰囲気が異なりますね。
同じ画題であっても時代によってこれほど違いがあるのは面白いですね。(もちろん作家による違いもあるでしょうが…)義信の物よりも色調が豊かで明るい印象を受けますが、やはり明治になり西洋画の影響を日本の画家が少なからず受け、色彩表現に変化が生まれたからではないかと個人的には思います。また、松年の 高砂図 は近景に松、中景~遠景に海、そして旭日と遠近法が用いられているのも西洋画の影響を感じるところですね。
この掛軸をお持ちのお客様は赤穂市にお住いで、赤穂に所縁のある作家の作品を収集するのが趣味だそうです。鈴木松年のルーツを辿ると長安義信と同じ赤穂市。2つの希少な作品を拝見させていただきまして本当にありがとうございました。
高砂についてはこちらの動画でより詳しくご説明しておりますのでよろしかったらご覧ください。