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高砂 の画題はいつ頃から描かれるようになったのか?
高砂 の掛軸は結納や長寿の祝いの席でよく飾られる慶事掛です。古くは兵庫県高砂市にある高砂神社に伝わる言い伝えから始まり、そこから翁と姥が描かれた掛軸を床の間に飾る風習につながりました。一般的にこの翁と姥が描かれた掛軸を『高砂』の掛軸と表現します。
高砂についてはこちらの動画でより詳しくご説明しておりますのでよろしかったらご覧ください。
この高砂の掛軸ですが一体いつ頃から一般的な画題として描かれるようになったのか?
私が今まで受けた古い掛軸の修理では昭和初期頃に描かれた作品が多かったのでその頃から一般的な画題となったのではないかと考えていました。
しかし今回お客様の骨董品のコレクションを拝見させていただく中で、今までで一番古い高砂の掛軸を確認する事が出来ました。その掛軸がこちらです。
作者は長安義信という江戸時代に赤穂藩に仕えた絵師です。以前長安義信についてご紹介した記事がありますのでよろしければこちらを参照してください。
長安義信の生没(1788-1868)から推測するとおそらくこの作品は江戸時代後期の作品。これは江戸時代の後期〜末期には高砂が画題として存在していたという事を示す稀少な資料と言えるでしょう。(もちろんこの時代の高砂の掛軸の数はそれほど多くないので一般的な画題ではなかったのかもしれませんが。)
現代ではよく描かれている高砂の掛軸とは随分雰囲気が異なりますが、その時代の味というものを感じる事が出来るので面白いですね。
私が今まで見てきた中で1番古い高砂の掛軸はこちらになりますがどの画題がいつ頃から描かれるようになったのかなどについては興味深いところですので今後も調べ続けていこうと思います。
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ