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結納屋 様からの掛軸修復依頼
結納屋 という業種をご存じでしょうか?
最近は結納をされる方も少なくなってきたのでご存じない方も多いかもしれませんが、両家の晴れの日に必要な物などをお世話するお仕事をされている業種です。
特に「ブライダル都市・高砂」と言われる兵庫県の高砂市を中心に播磨地域では結納品専門店が多くあります。
弊社は掛軸の卸販売を行っていますので慶事掛と言われる鶴亀や高砂などのおめでたい掛軸をそういった 結納屋 様に納めさせていただいております。
今回はそんな 結納屋 様からのお仕事のお話。
結納屋 様から掛軸の表装修理依頼
今回はいつもの掛軸の卸販売ではなく、結納屋 様から掛軸の表装修理依頼のご相談です。
結納屋様のお客様が傷んだ掛軸を修理して欲しいとのご依頼があり預かられたそうです。
こちらがその掛軸。
上の写真の通り、随分と傷んでいますね…(;’∀’)
絹本に描かれた観音図なのですが、絹本の破れや裂けは紙本とは違う大変さがあります。なんというか…見えていない部分、気が付いていない部分も旧裏打紙を剥がすと実は裂けていたというケースが結構あるんです。
紙本にしても絹本にしても裂けている部分に関してはなるべく裂け目を接合させた状態で新しい裏打を施すのですがこの裂けが多ければ多いほど裂け目を塞ぐ作業が大変になります。
今回の作品では旧裏打紙を除去する前の既に気づいている状態でこれほどの裂け目や破れがあるので恐らく旧裏打紙を除去するともっと…( ノД`)シクシク…
そして裂け目や欠損の部分は新しく裏打をすると裏打紙の色が出てきてしまい不自然な形になるので補彩を行い自然な形にします。(これがまた色合わせや絵の具の選定などかなりの時間を要する大変な作業なんです。)
補彩の参考動画はこちらをどうぞ。
折れが激しい部分は裏打をしても繊維が弱ってしまっているので裏から折れ伏せ(折れ当て)と呼ばれる補強を行います。こちらも折れや傷みの数が多ければ多いほどその数も多くなり時間がかかります。
折れ伏せの参考動画はこちらをどうぞ。
表装修理完了
今回は弊社の仏表装パターンの「鞍馬」にて表装仕立替を行いました。ボロボロになっていた部分も仕立替を行い、補彩を行ったので自然な形で再び飾っていただけるようになりました。
無数に発生していた折れも補彩により自然な風合いになりました。
ひび割れのような部分には細い筆で少しずつ色を入れていきます。水分を含み過ぎると逆にその部分のみ不自然になる場合もあるので加減が難しいです。
破れて欠損してしまっている部分も自然な形で描き入れました。
大変な作業でしたが無事に修理が完了して何よりです。
弊社では掛軸の卸先を募集しておりますが商品の取り扱いのみではなく、こういった掛軸の表装や修理などの取次店も募集しております。表装取次に必要な知識やノウハウもご説明させていただいております。社内での勉強会などのご要望にも対応させていただいております。
結納屋 様で掛軸表装の取次にご興味がございましたら是非ご相談ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。