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フランスからのご注文 : 小林太玄の掛軸 「一期一会」
フランスからのご注文 : 小林太玄の掛軸 「一期一会」
今回はこちらの「一期一会」の掛軸についてのエピソードをご紹介させていただきます。
こちらの作品を書かれた方は京都の由緒正しきお寺である大徳寺の塔頭である黄梅院の住職、小林太玄老師というお坊さん。この豪快で力強い筆致が非常に人気で多くのファンがいらっしゃいます。美術品を扱っている我々のような立場の人間やお茶の世界ではその知名度が非常に高く一度は耳にした事があるような方です。
最近では海外の方にも非常に人気で、前回はオーストリアにお住いのお客様から「本来無一物」の掛軸のご注文を頂戴いたしました。
そんな小林太玄老師のこの作品を今回はなんとフランスのお客様からオーダーを頂戴いたしました。
芸術の都・パリがあるフランスですね。今までもフランスの方から問い合わせであったりご注文であったりというのを何回か頂戴した事があるのですがやはり芸術の都がある国という事で非常に皆さん美術品に対する感受性が高いような印象を受けました。
今回のお客様はフランスで書道を練習されているようですが、やり始めてこの作品の素晴らしさという物を理解できるようになったとおっしゃっておりました。さらにこの「一期一会」という言葉自身の意味も非常に気に入られているようです。
この「一期一会」は日本では非常に馴染みのある言葉。英語にすると「One Chance in a Life Time」と言ったりします。
お客様からお聞きして初めて知ったのですがこの一期一会に似たような意味の語句が実は海外にもあるそうです。ラテン語で carpe diem(カルペ・ディエム)、英語では「seize the day」というようです。直訳としては「一日の花を摘め」「今日という日の花を摘め」と訳され、そこから転じて「今、この瞬間を楽しめ」「今を大切にしよう」といった意味になるそうです。
この「一期一会」という言葉は日本では茶道で重んじられる言葉で、茶道の本質を表す言葉とも言われています。古くは茶道を大成した千利休さんが大切にしていた精神性を表すとも言われており、「茶会で主人と客人が向かい合うその時間というのは同じように見えて一生に一度限りの大切な時間であり、二度と全く同じ時間というのは訪れない。なのでこの一生で一度限りのこの今という時間を大切にし、相手に対し礼儀を持っておもてなしをする事が大切だ」という意味になります。
千利休さんが生きた時代というのは戦国時代でいつ戦が起こってもおかしくない時代。今日会えたからといって明日も同じように会えるかどうかわからないという時代背景があり、一回の茶会に込められる意味という物を非常に千利休さんは大切にしたんですね。千利休さんがそういった覚悟にも似た精神性で茶会という行事に向かい合って大切にし、こだわったからこそ「茶会というイベントは始まりから終わりまで構成するすべての物を含む総合芸術」という風に発展したのではないかと感じます。
そこからこの一期一会という言葉は茶会以外の日常にも使われるようになり、「今という時間を大切にする」という現代の意味になりました。
お客さまはこの時代背景も含めてこの掛軸を気に入って下さり今回ご購入してくださいました。
掛軸に感謝 : これからも一期一会の気持ちで
お客様は本来なら今年の秋ごろに日本に旅行しようと考えられていたようなのですが、コロナの影響で今年の予定はわからなくなってしまったそうです。しかし「次日本に行く機会が出来た時は是非御社に行ってお話をしたい」という風に言っていただけました。嬉しいですね、そう言っていただけるのは。
海外の方とお仕事をするのはほとんどがメールでのやり取りになるのですが最近こういったお声を頂戴する事が増えてまいりました。掛軸の魅力を海外にも伝えたいと数年前から活動を始めましたが、こういう風に掛軸という物が海外の方と私の縁を運んできてくれているようで、本当に掛軸というものに私自身感謝をしております。
いまコロナの影響で飛行機が止まっている国が多くて発送できるかどうか心配だったのですが、フランスは発送可能という事でしたので早速お送りしたいなと思います。
今回はフランスからの掛軸のご注文に関するエピソードをご紹介させていただきました。弊社は掛軸を扱う身としてお客様の声に真摯に耳を傾け、今回の言葉にあるように「一期一会」の気持ちで全身全霊全力でこれからもお客様へのサービスに取り組んでいきたいと考えておりますので宜しくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
動画: 小林太玄老師の掛軸をフランスのお客様がご購入! 千利休が大切にした茶道の精神を表す「一期一会」の言葉を書いた掛軸。