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カナダ人のお客様より達磨の掛軸の修理依頼
カナダ人のお客様より達磨の掛軸の修理依頼
今回はこちらの掛軸の仕立て替えをご紹介させていただきます。
今回のご依頼はカナダのお客様からのご依頼です。多いですね、カナダからのご依頼…
以前、四点の作品を掛軸に仕立てて欲しいっていう依頼もカナダからでした。
「唐獅子と牡丹」、「地蔵菩薩」、「不動明王」と「狐」の四点の作品をこの時は掛軸にお仕立てさせていただきました。
この時のお話はこちらのリンクにまとめてありますので良かったらこちらの記事もご覧ください。
この時、ご依頼を下さったお客様はカナダ人の絵描きさんだったので、もしかしたら今回のご依頼の事も考えるとカナダに日本画や掛軸の文化が広まっていっているのかもしれませんね。(そうだと嬉しいですww)
今回のご紹介させていただく掛軸修理ですが、実は少し前のお話です。
2019年の秋くらいのエピソードでまだビフォーコロナの時代でした。
お客さんが日本にちょうど旅行に来られてまして、その旅行中に日本の郵便を使って弊社の方に掛軸を送ってこられました。
来日前から連絡をくれていたので手続き自体はスムーズに進行したのですがなかなかの行動力だな~と感心してしまいました。異国の地に修理して欲しい物を持ち込んで、旅行中にその国の輸送業者を自分で手配して修理店に荷物を送って自分は旅行を楽しむ…「僕ならするかな?」と問いかけると多分しないのでそこら辺はやはり外国の方のエネルギーを感じます。
今回お客様は約半月くらいかけて日本の色々な所を巡って楽しまれたそうです。
仕立替の打ち合わせやイメージ図をメールで送ってやり取りをしていたのですが、都度都度旅行中のお話を教えてくれるのでこちらも楽しく打ち合わせが出来ました。
石川県の輪島の方にも行かれていたそうで、なかなか乙な所を攻めてますね。初めての日本旅行ではなかなかチョイスしなさそうな渋い目的地ですがそれは日本人の感覚なんでしょうね。海外の方は皆さん、思い思いの好きな所に行かれる方がほとんどなので今回の旅行の報告をリアルタイムで聞くのも新鮮で楽しかったです。
達磨大師の掛軸修理
今回、修理のご依頼を頂戴したのは達磨大師の掛軸です。
達磨さんは元々インドのお坊さんで、中国の隋とか唐の時代に中国に渡って禅宗を広めた人です。
その禅宗が日本に伝わって曹洞宗や臨済宗という今の日本の禅宗につながったんですね。
禅宗ではこの開祖である達磨大師の掛軸が良く飾られるのですが、ここら辺のお話は佛事掛の説明でご紹介させていただきましたので良かったらこちらのリンクもご覧ください。
今回のこちらの作品は絹に描かれている物なのですが、裏打の糊が弱まってきて作品が裏打紙から浮いてきている状態ですね。
あとシミが若干発生しているのと全体的に汚れているのでせっかくの男前な達磨さんが台無しです。
今回はシミ抜きも含めて掛軸の仕立替を行う事にいたしました。
達磨掛軸 修理工程
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 (古い裂地や軸棒などを取り外していきます。)
↓
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
作品洗浄 (汚れ落とし)
↓
シミ抜き (洗浄では落ちないシミの除去)
↓
再表具
修理、仕立替完了
ついにカナダのお客様からの達磨の掛軸の修理仕立替が終了いたしました。
最初は作品が裏打紙から剥がれかけていてみっともなかったんですけど、仕立替をしてビシッと格好良い掛軸になりました。
今回の表装は達磨さんが墨一色で描かれた渋い感じだったので裂地の色柄も渋い感じで統一させていただきました。
シミも抜けて格好良い掛軸になったので、なんだか達磨さんの男前具合も上がった感じがしますね。
お客様は旅行を終えられて帰国されていたので、早速カナダの方に送らせていただきました。
後日、お客様からこんなFeedbackを頂戴いたしました。
Nomura-san,
I received the Daruma kakejiku today, in perfect condition, and it is really beautiful.
I am so happy, thank you very much. I want to show it to my friends.
It was a pleasure doing business with you and I am to recommend you to anyone.
とてもご満足いただけたようで本当に嬉しく思います。
弊社では今回ように掛軸の修理や仕立替のご相談を全世界対応で承っております。
掛軸の事でお悩みの方は是非ご相談ください。
動画: カナダ人のお客様より達磨の掛軸の修理依頼