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スイスのお客様より龍の掛軸仕立替プロジェクト
日本の干支(十二支)では、12年周期で12種類の「干支」と呼ばれる動物が一年一年を象徴しています。
子(ねずみ)、丑(うし)、寅(とら)、卯(うさぎ)、辰(たつ)、巳(へび)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(いのしし)が、その年の特徴を司ります。
2024年は辰年という事で龍になります。
弊社にも龍に関連する作品のお問い合わせやお仕事が多く寄せられています。
今回はそんな龍の掛軸の修理依頼をスイスにお住いのお客様より頂戴したエピソードをご紹介させていただきます。
スイス人のお客様より掛軸の修理依頼
もちろんスイスには干支の考え方は無いでしょうが、こちらのお客様は以前にも数回弊社に掛軸の修理をご依頼されているお客様で日本の文化にお詳しい方ですのでもしかしたらご存知の上でご依頼されてきたのかもしれませんね。
こちらのお客様の過去のお仕事の記事はこちらをご参照ください。
こちらが今回ご相談いただいた掛軸です。全体的に汚れが発生しており表装も仕立替のタイミングの時期に来ておりました。
お客様と詳細をお打ち合わせさせていただく中で、現状の表装形式である丸表装ではなく日本独自の表装形式である三段表装で仕立替を行って欲しいというご要望を頂戴いたしました。
表装形式にもこだわりがある所にお客様の掛軸や表装に対する見識の高さを改めて感じました。
ただ、現状の表装形式から三段表装に表装形式を変更すると総丈が2m程度とかなり大きくなってしまいます。日本の床の間であれば飾ると床に掛軸の下部がついてしまう事もある程の長さになるのでお客様に念の為、2m程度でも問題ないかを確認させていただきました。
お客様はスイス在住で日本の床の間とは違うので恐らく大丈夫だろうとは思っておりましたが、問題なしとの回答に安堵いたしました。
龍掛軸 修理工程
このような掛軸でも、弊社の熟練した職人の手によって美しい作品に生まれ変わります。
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 (古い裂地や軸棒などを取り外していきます。)
↓
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
作品洗浄 (汚れ落とし)
↓
シミ抜き (洗浄では落ちないシミの除去)
↓
再表具
修理仕立替完了
修理仕立替が完了し、汚れが除去された龍の掛軸がこちらです。渋みと重厚味のある裂地でお仕立させていただいたので龍の威厳も感じる事が出来ます。表装裂地によって作品のイメージがガラリと変わるのも表装の楽しい所ですね。
早速お客様にもお送りさせていただきました。お客様からは以下のようなフィードバックを頂戴する事が出来ました。
The dragon kakejiku has arrived my home, and it looks so wonderful.
Thanks again for your great work of art and I look forward to make business with you again.龍の掛軸が我が家に届きましたとても素敵です。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました。また取引できることを楽しみにしています。
今回も弊社の仕事にご満足を頂戴出来たようで非常に嬉しい限りです。お客様にご無理をお願いして、実際に飾られている様子の写真を頂戴いたしました。
お客様は良い写真が撮れるように天気の良い日をわざわざ選んでくれたようで、その細やかな心遣いにまた感動を覚えました。
掛軸が素敵にスイスの地で飾られているのを見て弊社も誇らしく思います。
弊社は今回のように日本だけではなく全世界対応で掛軸の修理依頼を受け付けております。
掛軸の事でお困りの事がございましたら遠慮なしにご相談ください。
お客様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。