ドイツのお客様よりご依頼いただいた大きく傷んだ虎絵掛軸3点の修復

虎は日本美術の中で古来より多く描かれてきた画題です。

昔は日本に虎は生息していなかった為、大型の猫として描かれていました。

この“猫虎”の独特な雰囲気に魅了される方は多く、海外のお客様の中にも熱心なファンが数多くいらっしゃいます。

今回はそんな虎絵を愛するドイツのお客様からの掛軸修復のご依頼をご紹介させていただきます。

新たな3点の虎絵掛軸の修復依頼

今回掛軸の修理のご依頼をいただいたお客様はドイツで日本美術のギャラリーを運営されており、過去にも虎絵の掛軸の修理をご依頼いただきました。

今回は新たに3点の虎絵の掛軸修復依頼を頂戴いたしました。

まず最初の虎絵掛軸がこちら。以前、修理依頼された虎の掛軸と構図やデフォルメなどの雰囲気がそっくりですね。

こちらの掛軸は表装自体には傷みが見られましたが、作品本体の損傷は比較的軽度でした。

若干破れがある箇所がありますがこの程度の破れであれば仕立替によって綺麗に修復出来ます。

次の虎絵掛軸がこちら。こちらも他の虎絵掛軸と同じようなポーズと特徴の虎絵掛軸ですね。掛軸の上部から垂れ下がる二本の風帯という帯が異様に長いのが不思議な表装です。

こちらは全体に強い折れジワが生じており、欠損箇所も多く見受けられました。補彩作業も必要となる重度の損傷を抱えた掛軸でした。

3点目の虎絵掛軸がこちら。こちらも同じようなポーズと雰囲気の虎絵掛軸ですね。恐らくお客様のお好みの虎絵の種類なのでしょうね。江戸時代に長崎で流行した虎絵の描き方のようです。

実は3点の虎絵掛軸の中で、この掛軸が最も傷みの激しい一幅でした。

至る所で作品に裂けが発生していたり、過去に修復された跡などが見受けられました。

過去に補彩が施された掛軸は仕立替を行うとその補彩部分が失われてしまいます。その為、再度新たに補彩を行う必要があり、かなり大掛かりな修復が必要な掛軸でした。お客様もその点は十分にご承知のうえで、それでも修復をご希望くださいました。

表装打ち合わせ

3点それぞれをどのような仕立にするか、複数の裂地候補をご提案しながら何度も意見を調整し、最終的な仕様をオプションを含めて確定いたしました。

お客様が弊社で掛軸の修理をご依頼するのはこれで数回目になり、表装の裂地合わせに関しましてもご自身の好みやご意見をわかりやすく伝える事に過去の経験を通して随分と慣れてこられておりました。

今回もそのご意向に沿う裂地をご提案できたことを弊社としても嬉しく思っております。

修復完了

3点の傷んだ掛軸の修復プロジェクトはかなり長期にわたりましたが、無事にそれぞれの修復を完了することができました。それぞれの掛軸がよみがえり、再び飾っていただける状態になった事を大変嬉しく思います。

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3点のうち、2点は傷み具合と保存の事を考え、太巻で保管することをご提案させていただきました。

お客様からのフィードバック

掛軸は修理完了のタイミングに合わせて2回に分けて発送させていただきましたが、お客様より大変ありがたいご感想を頂戴いたしました。

こちらが1回目の発送後のコメント。

修理済みの虎の掛軸を発送してくださり、ありがとうございます。本日荷物を受け取り、威厳あるこの虎の輝きが蘇っているのを見て、とても嬉しく思いました。選んでいただいた裂地が、水墨画の表現や、経年した絹本の地色にとてもよく合っていると思います。今回も素晴らしいお仕事をありがとうございました。

Thank you for sending out the repaired tiger scroll. I received the package today and was very pleased to see this majestic creature’s glory restored. I think that the chosen fabrics match the ink painting and the color of the aged silken painting surface very well. Thanks for another great job well done!

続いて2回目に発送した掛軸を受け取られた際のお客様のフィードバックです。

二点の日本の虎絵に対して、あなたが行ってくださった素晴らしい修復作業に、心から深い感謝の気持ちをお伝えしたくご連絡しました。これらの作品は大きな損傷を受けていましたが、あなたは高い技術と献身によって見事に命を吹き込み、蘇らせてくださいました。写真は誤解を招くこともありますが、あなたが選んだ色や裂地の柄は的確でした。それらは作品を損なうことなく完璧に引き立てています。
この修復結果に、これ以上ないほど満足しています。

I am writing to express my deepest gratitude for the incredible restoration work you performed on my two Japanese tiger paintings. Despite the significant damage these works had sustained, you managed to bring them back to life with such skill and dedication. The photos can be misleading, but your choice of color and fabric patterns was spot on. They complement the artwork perfectly without taking away from it. I couldn’t be happier with the restoration.

作品の傷みが大きかっただけに、無事に修理を終え、お客様にここまでお喜びいただけたことを弊社も大変嬉しく思っております。仕上がりだけでなく、裂地の選定までご評価いただけたことは弊社にとっても大きな励みとなりました。

総括

大きな傷みを抱えていた三点の虎絵掛軸がそれぞれの魅力を取り戻した姿を見ることができ、弊社としても大変嬉しく思っております。そして何よりお客様に仕上がりを喜んでいただけたことが弊社にとって何よりの励みとなりました。

これからも弊社は一幅一幅の個性と状態を丁寧に見極めながら、大切な掛軸を次の時代へと繋いでいくお手伝いを続けてまいります。

国内はもちろん、海外からの掛軸修理や仕立替のご相談にも対応しておりますので、お困りの際は是非弊社までお問い合わせください。

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    CEO Message

    あなたと掛軸との懸け橋になりたい


    掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

    その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

    日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



    代表取締役社長
    野村 辰二

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    会社概要

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    商号
    株式会社野村美術
    代表取締役
    野村辰二
    本社
    〒655-0021
    兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
    TEL
    078-709-6688
    FAX
    078-705-0172
    創業
    1973年
    設立
    1992年
    資本金
    1,000万円

    事業内容

    • 掛軸製造全国卸販売
    • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
    • 掛軸表装・額装の全国対応
    • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
    • 宣伝広告業務
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