ニュース/ブログ
4月中旬~5月 (晩春~初夏) に飾る お勧めの掛軸
先週末はすごい春の嵐でしたね。2018年は暖かくなるのも早かった為、桜が散ってしまうのも早かったような気がします。もう春も終盤に差し掛かっているのを感じます。
さて、春の掛軸といえば早春には梅、盛りには桜というのが人気の掛け替えのパターンなのですがその後に何を飾ればよいかというご質問を良く受ける事がございます。季節的には晩春~初夏という移り変わりの時期。夏の定番掛軸である「朝顔」や「川蝉」、「鮎」といった物にはまだ少し早い気がしますのでこの時期に飾る お勧めの掛軸 をいくつかご紹介してみようと思います。
牡丹
「百花の王様」として知られる牡丹の見頃はこれからですね。春から梅雨時期にかけて大輪の美しい花を咲かせます。威風堂々としてその風格から古来より日本画家に最も描かれてきた花のひとつです。最も多く描かれてきた花なのですが、作家によりそれぞれ作風に少しずつ違いがあるのが面白いですね。掛軸の世界では牡丹の掛軸を床の間に飾って来客をおもてなしする事は「最高のおもてなし」というメッセージを表すと考えられる事もあり、季節に問わず飾られる場合もあります。さすが花の王様ですね。
菖蒲
こちらも初夏に飾られる掛軸の定番のひとつです。特に日本では端午の節句に飾られる事が多いのでこの時期に菖蒲の掛軸を飾る方も多いです。菖蒲は古来から健康を保ち、邪気を祓う力があると信じられいました。江戸時代になると「菖蒲(しょうぶ)」の発音が「勝負」や「尚武」に通じる事から男の子の無事成長していくことを祈り、一族の繁栄を願うようになり端午の節句は男の子の節句となっていったそうです { (一社)日本人形協会 「五節句と節句人形」参照 }。端午の節句の掛軸としてはその他に「鯉の滝昇り」や「武者」「兜」、「龍」や「虎」なども飾られます。
新緑の奥入瀬
日本を代表する景勝地である青森県十和田湖にある奥入瀬渓流。特に新緑の頃と秋が非常に人気が高く、GWなどに旅行で訪れる人も多いです。昔の日本画家の掛軸作品で描かれているのを拝見した事はあまりないのですが、現代では代表的な画題として多くの日本画家がスケッチに訪れ作品に残しています。時代によって日本画家の画題にも変化があるのが面白いですね。明治時代から洋画の影響もあり日本画の絵の具は種類は格段に増えました。表現できる色彩も格段に広がったので、日本画家からすると彩度あふれる奥入瀬の美しい旬の時期を自分なりに描いてみたいという好奇心や探究心を刺激したのではないかななどと個人的に勝手に想像していたりします。新緑の頃の奥入瀬もこの時期に飾って頂きたい お勧めの掛軸 です。
藤
桜が終わった後くらいから開花する紫色の美しい花がカーテンのように密集して垂れ下がるのが藤の花。インスタ映え間違いなしの美しい景色に日本人のみならず外国人にも人気のようです。写真のようにライトアップされるとさらに美しいですね。初夏の心地よい陽気を感じる事が出来る藤の花の掛軸もこの時期のお勧めです。
いかがでしたでしょうか?
この時期に飾ってみたくなる掛軸がございましたでしょうか?次の掛軸の掛け替えのタイミングは梅雨時期くらいかなと思いますのでまたご紹介出来ればと思います。
掛軸の歴史について知りたい方はこちらの動画をどうぞ