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日本の自然観
日本の自然観
国土の大半が温暖湿潤な気候帯に属し、春夏秋冬がはっきりと推移するこの国においては、この気象条件から、稲作による定住生活が生活の基盤となった。それゆえ、この国に住む人々は四季の移ろいに敏感で、穏やかではあるが自然に対して感受性の鋭い国民性が育まれた。また、周囲を海に囲まれ孤立した島国であることで、他民族との接触に一定の制御が加えられ、前記の特質に加えてさらに、独特の豊穣な文化を醸し出す下地ともなってきた。
自然は人々に恩恵をもたらすとともに、時には人に危害を及ぼす。それ故、日本人は自然を愛すると同時に恐れ敬ってきた。自然を支配しようとするのではなく、自然に従い怒らせないようにするというのが基本的な考え方であると言える。これはキリスト教的な自然を支配しようとする考え方とは根本的に異なっている。言いかえれば、日本人にとって自然は人間を包み人間と共存していくものである。その考えが日本の宗教である神道へとつながっていった。
神道
厳島神社
神道とは日本で一番古い宗教であり、シャーマニズムやアニミズムといった自然崇拝、精霊崇拝である多神教に基づく。神道では神がどこにでも存在する。山、岩、川、木、鳥、動物そして人間にも・・・。神と人間とを結ぶ具体的作法が祭祀であり、その祭祀を行う場所が神社であり、聖域とされている。多彩な日本人の美意識はこのような自然観に由来するものが多いので、自然観を抜きにして日本人の美意識を理解する事は不可能と言える。