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予備知識
風帯
「風帯」(ふうたい)は掛軸の部分のひとつの名称である。八双に縫い付けられた細い二つの布である。風帯の長さは表装の上の部分である「天」と同じ長さであり、風帯の位置により天を均等に3つの部分に縦に区切る形となる。正式な風帯は「下げ風帯」もしくは「一文字風帯」と呼ばれる。それぞれの風帯の下側の左右には「露」とよばれる小さな扇や房形の綿や絹糸が取り付けられている。これらは風帯の下端から4.5mmから6mmの場所に取り付けられ、端を外側に広げられる。
中国では昔、掛軸を軒先に飾っていた時代があり、鳥が掛軸を汚しに来るのを防ぐ為に鳥が紙を恐れることを利用して風帯が取り付けられていたと言われている。現在ではその名残として装飾の意味合いでつけられている。大和表装には取り付けられるが文人表具には付けられない。
廻し
作品を同じ裂地で取り囲んでいる部分を「廻し」、取り囲むことを「廻す」と表具の世界では呼ぶ。細い線のような裂地で何かを取り囲んでいる部分を「筋廻し」と呼ぶ。内側の廻しを「中廻し」と呼び、外側の廻しを「外廻し」と呼ぶ。
一文字と呼ばれる金襴から作られた裂地の部分があり、上の一文字を「上一文字」、下の一文字を「下一文字」と呼ぶ。一文字と同じ裂地で作品を取り囲んでいる部分を「一文字廻し」と呼ぶ。
その他
縦長の作品の掛軸を「立物」と呼び、横長のものを「横物」と呼ぶ。
通常天の部分は地の部分よりも長い。これは掛軸は正座の姿勢で本紙を眺める事が多いからだとも言われている。
底部分に「軸木」と呼ばれる円柱形の棒があり、掛軸を巻くときの軸になる。端の取っ手を「軸先」と呼び軸を扱う際に使われる。
軸の端の半月状の木を「八双」と呼び、軸の使用の際に使われる。「鐶(かん)」と呼ばれる金属製の輪が八双に取り付けられ、ここに「掛緒」と呼ばれる掛軸を掛ける際に使われる紐を取り付ける。巻かれた掛軸を縛る為に使われる巻緒が掛緒に取り付けられる。
軸先はプラスチックや陶器、塗り、紫檀、人口象牙などで作られる事が多い。
「風鎮(ふうちん)」は掛軸の軸先に取り付けられる錘である。風鎮は装飾的な木や陶器で作られており、掛軸が風に泳ぐのを防ぐ為に使用される。(現在の建築では部屋の気密性も保たれている為、主に装飾の意味合いで使われる事が多い。)
表装形式
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