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渋い
渋い
「渋い」 (形容詞)、「渋み」 (名詞)、「渋さ」 (名詞)は簡潔で微妙で控えめな美を表現するための日本語である。室町時代の「渋し」が起源であり、未熟な柿のようなすっぱい、あるいは苦い味の事を元来は意味していた。
「渋い」は今でもその言葉通りの意味を持ち、「甘い」の反対語として使われている。他の日本の美意識を表す語、「粋」や「侘び寂び」のように、「渋い」も芸術や流行のみでなく様々な場面で使われている。「渋さ」は以下のような重要な特質を含んでいる。
■渋いものは全体的に簡素だが、単純性と複雑性のバランスをとる微妙な部分、例えば質感のようなものを含んでいる。
■この単純性と複雑性のバランスにより、人々は渋いものに飽きるのではなく、長年をかけて熟成する美的価値を生み出す渋いものの新しい魅力や豊富な美を常に見出す。
■「渋さ」は「侘び」や「寂び」と混同すべきではない。多くの侘び寂びのものは渋いが、決してすべての渋いものが侘び寂びというわけではない。渋いものは必ずしも不完全であったり不均整である必要はないのである。(もちろんそういう性質を含む場合もあるのだが…)
■「渋さ」は「優雅さ」と「荒々しさ」、もしくは「明らかな」と「控えめな」というような対称的な美的概念の間にある微妙な価値観なのである。