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掛軸の折れの修理 、汚れの洗浄のご相談
掛軸は長く使用しているとシワや折れが発生しやすい宿命にあります。デリケートな素材で出来ている割に巻いたり広げたりを繰り返すので傷みやすいのです。掛軸の機能性を優先すると仕方がない宿命ですね。(掛軸の機能性についてはこちらをご参照ください。)
今回は長年の使用によりきつ~い 折れが発生してしまった掛軸の修理依頼です。
掛軸の折れの修理 、汚れの洗浄
こちらが今回の修理依頼の掛軸です。全体的に汚れが付着してしまった年季の入った掛軸です。
掛軸の上・中・下のそれぞれにきっつ~~いシワが入っているのがわかります。
劣化が進むとこの折れの部分から裂けてきてしまいます。紙の繊維が弱くなってしまっているので現状でも大変危険な状態です。
表装オペレーション
今回の大まかな再表具のオペレーションの流れは以下です。
作品解体 (古い裂地や軸棒等の取り外し)
↓
旧裏打紙を除去 (業界用語で「めくる」という作業)
↓
作品洗浄 (汚れ落とし)
↓
新・肌裏打
↓
折れ伏せによる裏からの補強
↓
裂地選定
↓
再表具
今回のような 掛軸の折れの修理 では新たに肌裏打を行った後に、裏から細い和紙を折れに沿って貼り付けます。本紙の紙の繊維が弱くなり断裂しかかっている状態ですのでそれを裏から補強する役割があります。
修復を終えた掛軸がこちらです。作品寸法が長いにも関わらず大和表装になっていた為、異様に総丈が長い掛軸になっていたので丸表装にしてバランス良くいたしました。掛軸の本紙の長さと表装の仕立ての関係性については以前ご紹介させていただきましたのでご興味がございましたらご参照ください。
before → after もあわせてご覧ください。
大和表装から丸表装に変更したので総丈が通常の床の間に飾れるくらいの長さになりました。
全体に発生していた 掛軸の折れの修理 もしっかりと完了し、汚れも洗浄により落ちました。
拡大写真。折れが無くなっているのがわかります。
これでまた末永く飾って楽しんで頂く事が出来るので何よりです。
掛軸の折れの修理 や汚れの洗浄などのご相談は是非弊社までご相談ください。(遠方出張対応大歓迎)
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。