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ご自宅の 天照皇大神の掛軸 傷んでいませんか?
天照皇大神の掛軸 は古来より多くの家の床の間で飾られてきました。
これは伊勢講(いせこう)という組織が関係しているようです。
伊勢講について
伊勢神宮の参詣を目的に集った講。本来は個人の信仰心に基づき,自由参加であったが,伊勢信仰の深さから村全体の組織になる場合が多かった。参加者は講員と呼ばれ,一家の戸主がほとんどである。参詣のための費用を積立て,共同出資で代表者を順次派遣するので代参講ともいわれる。代参者の出発または帰着に際しては,全講員が集って酒宴を催すのが通例であった。
このお伊勢参りの帰りにお土産にこの 天照皇大神の掛軸 を買ってくる場合が多かったようです。ご自宅用でもあるのですが、村全体での行事用などにも購入されていたようです。
この 天照皇大神の掛軸 ですが昔に購入されてご自宅で飾られている分に関しては随分と傷みが発生している場合が多いです。伊勢講が盛んであった時代に購入された物であればもう随分と年月が経つはずなのでそろそろ修理が必要な時期に来ている場合が多いです。
弊社でも過去何度か 天照皇大神の掛軸 の修理をご紹介させていただきました。
今回もそんな 天照皇大神の掛軸 の表装修理のご依頼です。
天照皇大神の掛軸 表装修理 | 多可町
ご依頼いただいたのは兵庫県の北播磨の最北、多可町にお住いのお客様。
今回修理のご相談をいただいたのがこちらの掛軸。
表装の上部は裂けてしまっています。これでは飾ると掛軸の重みでどんどん裂けていってしまいますね。
作品左上部にはシミが発生してしまっています。(これは雨ジミかな…)
全体に無数の折れジワが発生してしまっています。旧裏打紙を除去してからわかったのですがこの折れジワ部分のいくつかは既に裂けてしまっていました。裂け目に汚れが付着してわかりにくくなっている状況でした。
天照皇大神の掛軸 表装修理
旧裏打紙除去
古い裏打紙を除去していっています。業界では「めくる」と表現しますがこのめくる作業が非常にデリケートな作業です。少しずつ作品を抑えながらピンセットと指を巧みに使いながらめくっていきます。特に折れジワの部分は作品の繊維が弱くなっている部分ですので慎重に色々な角度から少しずつめくるようにしていきます。
作品洗浄
洗浄用の桶に専用の養生紙にて作品を上下から挟み、洗浄液にて汚れを除去していきます。汚れが見る見る内に落ちていくのがわかりますが、やりすぎると作品が脆くなってしまいますので少しずつ作品の様子を見ながら時間をかけて除去していきます。
天照皇大神の掛軸 表装修理完了
汚れを除去して折れが発生していた部分に肌裏打後に折れ伏せと呼ばれる補強を行い、再度表装いたしました。表装の裂地の色合いや風合いは前回の物を参考にさせていただきました。総丈もバランスよく調整させていただきました。
洗浄により汚れも除去されています。
折れや破れも目立たなくなりました。補強もしているので再び巻いても大丈夫です。
納品
ご依頼いただいた方は齢100歳を超える方で、ずっとこの 天照皇大神の掛軸 の事が気になっていたそうだったので大変喜んでくださいました。長年のモヤモヤが解消されたようで何よりです。
お客様のご自宅にもし 天照皇大神の掛軸 がございましたら傷みが発生しそろそろ修理が必要な時期が来ているかもしれませんので一度確認してみてください。
表装修理のご相談がございましたら是非弊社までご連絡ください。
宜しくお願いいたします。
天照皇大神についてはこちらの動画で詳しく解説しておりますのでよろしかったらご覧ください。
掛軸の修理修復工程をより詳しくご覧になられたい方は以下の動画で徹底解説しています。全4回に渡る長編の解説付の動画ですのでご興味ある方は是非ご覧ください。