ニュース/ブログ
頂相 の掛軸表装依頼 | 多可町の寺院より
以前より兵庫県の多可町にある寺院様から掛軸の修理や巻物の製作依頼を頂戴していたのをご紹介させていただいておりましたが、今回は 頂相 (ちんそう、ちんぞう)の掛軸表装依頼を頂戴いたしました。
頂相 とは禅僧の肖像画の事を言います。禅宗では仏教の最終目標である悟りを開くのに言葉や仏典に頼らずに人と人との交流の間で直感的に至る事を重視し、お弟子さんがお師匠さんとの厳しい精神修行の末に悟りの境地に達すると考えられてきました。その師匠が弟子に悟りが開けた事を認める印可状の一部として自賛の肖像を与え、弟子はそれを師そのものとして崇め大切にしたことから、禅宗の普及と共に多く描かれたと言われています。
現代の日本でもその習慣は残っており、弊社も禅宗の僧侶様から過去数度掛軸表装依頼を頂戴した事がございます。
こういった肖像画は特殊なので描く事が出来る画家さんというのは少ないのですが、今回はご依頼いただいた寺院のお近くに住んでいらっしゃる日本画家の方に住職が描いてもらったそうです。こちらがその作品。
画家さんにお話をお伺いした所、頂相 を描くのは今回が初めてで最初は戸惑ったそうですが様々な資料を研究して描きあげたそうです。元々手描き友禅をされていたそうで袈裟などの描き込みが細かく丁寧ですね。
こういった人物画の表情を描くのが特に難しいと言われますがモデルの特徴をよく掴んだ描写です。
通常はこの作品上部に讃を入れてから表装作業に入るのですが今回は事情により先に軸装してから後で讃を入れられるそうです。
こちらが完成した掛軸の写真です。
禅宗ではあまり派手な表装を好まない事が多いので金襴ではなく落ち着いた緞子の裂地の本仏表装にてお仕立て致しました。
納品にお伺いするとご依頼主である僧侶様も描かれた画家さんも大変喜んでくださりました。ご依頼ありがとうございます。
頂相の掛軸表装依頼や肖像画製作依頼などがございましたら是非弊社までご相談下さい。
佛表装の真の行スタイル(本仏仕立)は非常に多くの裂地を貼り合わせております。こちらの動画で詳しく解説しているのでよろしかったらご覧ください。