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西国三十三観音霊場の巻物を額装に

兵庫県たつの市のご夫婦からの特別なご依頼
西国三十三観音霊場巡りは関西圏では非常にメジャーな霊場巡りです。弊社はこれまでも西国三十三観音霊場を巡られた方から掛軸や額装をはじめ様々な表装のお仕事を頂戴してまいりました。
今回は、兵庫県たつの市にお住まいのご夫婦から、少し変わった西国三十三ヶ所に関する表装のご依頼をいただきました。ご依頼は二つあり、一つはこれまでにも対応したことがある内容でしたが、もう一つはこれまで一度も受けたことがない、まったく新しい挑戦となるものでした。
納経軸の縦額仕立て
まず一つ目のご依頼は西国三十三観音霊場の納経軸を掛軸ではなく、縦長の和額仕立てにしてほしいというものでした。

これは一般的には掛軸に仕立てるものですが、過去にも何度か同様のご要望を受けたことがあり、特に大きな驚きはなく対応することができました。
過去の事例はこちら
初めての西国三十三ケ所の巻物額装依頼
しかし、もう一つのご依頼には正直驚かされました。それは、西国三十三ヶ所の朱印を巻物で集めたものを額装したいというものでした。
これまでに西国三十三ヶ所の納経軸や御朱印を額装する依頼はありましたが、巻物そのものを額装するというご要望は初めてでした。

さらに驚いたのはその巻物が元々巻物として仕立てられている状態で、各寺院の朱印を直接押してもらうタイプのものであったことです。巻物の台紙部分には予め各寺の名前などが印刷されており、その上に朱印が押されています。

加えて、お客様は善光寺と延暦寺でいただいた2枚の札も一緒に額装してほしいとのご希望をお持ちでした。

綿密な打ち合わせ
額装のサイズや裂地、仕立てのスタイルについて、お客様とじっくり打ち合わせを重ねました。弊社としても初めての仕立て依頼でしたのでイメージの齟齬がないように気を使いながらお客様のご要望になるべく寄り添えるようプロとしてご提案をさせていただきました。最終的にお客様は納経軸の縦額と統一感を持たせるため、ブルー系統の裂地を選ばれました。
また、巻物額を合計2セット、同じ仕様で製作してほしいというご要望をいただきました。細かい寸法や配分については弊社に一任されることとなり、大きな責任を感じながら何度も図面を起こし、実際に作品を仮置きしながら慎重に製作を進めさせていただきました。前例のない完全別注の仕事であり緊張感を持って製作に臨ませていただきました。
完成した額装の荘厳な美しさ
完成した作品は荘厳な雰囲気を纏った素晴らしい額装となりました。縦額も巻物額も、お客様が選ばれたブルー系統の裂地が作品の魅力を一層引き立てています。



納品
ご自宅に納品に伺うとお客様ご夫婦も仕上がりに大変喜んでくださり、心からの感謝の言葉をいただきました。その瞬間に苦労して取り組んだ西国三十三ケ所の巻物の額装のお仕事の努力が報われるようで大きな責任を果たし終えた安堵感がありました。
今回のご依頼は私たちにとっても新たな挑戦となりましたが、お客様の期待に応えることができ、非常に意義のある仕事となりました。これからも、お客様の大切な思い出を形にするお手伝いをしていきたいと思います。
西国三十三ヶ所の巻物を額装にされたい方は、お気軽にご相談ください。