四国八十八ヶ所巡礼を終えたカナダ人、掛軸表装で記念の形を

四国八十八ヶ所巡礼の旅は多くの人にとって心身を清め、人生を深く見つめ直す特別な体験です。

そんな旅を終えた後、その思い出をどのように形に残すかは大きな決断となります。

今回、あるカナダのお客様が四国八十八ヶ所の巡礼を完了した後、弊社に掛軸表装をご依頼されたエピソードをご紹介いたします。

このお客様とのやりとりを通じ、掛軸表装が持つ深い意味を改めて感じることができました。

 

2023年から始まった弊社とのつながり

このお客様との出会いは、2023年8月にいただいた一通のメールがきっかけでした。

四国八十八ヶ所を巡礼しようと準備されていたお客様は、以前、弊社で納経軸を掛軸に表装させていただいたスイスの方の記事をご覧になってくださったようで同様に掛軸を記念に作りたいと考えられたようです。スイスの方の記事はこちら。

 

お客様はどのような納経軸の台紙を選ぶべきかを弊社にご相談されたので、弊社は仏教の宗派ごとに適した納経軸の種類や、真ん中の弘法大師や周囲の装飾の描き方に違いがある事、また、中には弘法大師が刺繍で織られた物もある事を解説させていただきました。

さらに弊社のホームページを参考に、裂地のデザインや掛軸の完成イメージを確認いただけるリンクもお伝えし、お客様に掛軸の最終イメージがしやすいようにご案内させていただきました。

 

このようにお客様が信頼を寄せてくださるきっかけを作れたことが、その後の掛軸表装依頼につながりました。

 

巡礼を終え、来社

2024年5月、ゴールデンウィーク明けにお客様がご夫婦で弊社にご来店されました。

色々と四国巡礼の思い出話をお話してくださいました。特に印象深かったのが四国巡礼の途中で納経軸を納めていたケースが少し壊れてしまったが、それをご自身で修理して旅を続けられたとエピソードです。様々な苦難を乗り越えての旅だったのが伝わってきました。

お客様が集印をされた納経軸の台紙は弘法大師が刺繍された豪華ver.の台紙でした。

 

お客様はこの台紙を大変気に入られていたので、弊社が行ったアドバイスがお役に立てて良かったなぁと改めて感動いたしました。

 

裂地の選定と「パーフェクト」な選択

裂地の選定では、まず弊社の仏表装パターンNo. 17の「玄武」の裂地が候補に挙がりました。

玄武001

 

落ち着いた雰囲気を持つ外廻しの裂地に対し、中廻しの裂地をどうするかでお客様は大変悩まれました。

通常弊社が玄武の裂地に対して中廻しに使う金色の裂地とお客様が気になる本金襴の赤富田の裂地を並べて検討されましたが、赤富田の裂地は非常に色鮮やかで「目がビジー(忙しく感じる)」という印象をお客様はお持ちになったようです。

 

そこで、最終的には弊社の通常の組み合わせの金色の裂地を中廻しに決定され「これならパーフェクトだ!」と笑顔でお答えいただけました。

 

裂地の選定においても非常にこだわりを持たれており、その一つ一つの選択がご自身の巡礼の記憶を形作る重要な要素となっていることが感じられました。

 

真の真スタイル表装へのこだわり

通常、弊社では「玄武」の裂地を使用した場合、「真の行」スタイルで表装することが多いのですが、お客様は「真の真」スタイルで表装することを強く希望されました。

この「真の真」スタイルは、非常に厳格で格式高いスタイルであり、日本国内でも知っている人が少ない特殊な表装です。

掛軸の表装スタイルについては以下のリンクをご参照ください。

 

お客様がこのスタイルを選ばれた理由は弊社のホームページを隅々までご覧になり、徹底的に調べていたからだということがわかりました。

日本人でも知らない方が多い「真の真」スタイルについてお客様が自らの知識で選択されたことに、私たちも驚きとともに感銘を受けました。

 

掛軸の完成とお客様の満足

長い制作期間を経て、ついに四国八十八ヶ所の納経掛軸が完成いたしました。

 

高級感のある「玄武」の裂地と中廻しの豪華な金色の裂地の組み合わせが美しく、「真の真」スタイルで表装された掛軸はまさにお客様の理想通りに仕上がりました。

 

お客様のお住いのカナダに早速掛軸をお送りさせていただきました。

お客様からは「とても美しい。私の巡礼の旅の大切な思い出を作ってくれた職人さんたちとあなたに感謝します。長年、私の家に誇りを持って飾られることでしょう。」と感動の声をいただけ、その満足感が私たちにも伝わってきました。

 

四国八十八ヶ所を巡礼する方々へのメッセージ

四国八十八ヶ所巡礼はただの旅ではなく、心と体を清める大きな挑戦です。そしてその旅路で集めたご朱印は、一つ一つが巡礼の証です。

弊社ではその大切な証を永遠に形に残すための掛軸表装を、心を込めて製作しております。

弊社は皆様の巡礼の思い出を掛軸として美しく永遠に残すお手伝いをさせていただきます。

掛軸表装に関するご相談はいつでもお気軽にお問い合わせください。

 

CEO Message

あなたと掛軸との懸け橋になりたい


掛軸は主人が来客に対して季節や行事などに応じて最も相応しいものを飾り、おもてなしをする為の道具です。ゲストは飾られている掛軸を見て主人のおもてなしの気持ちを察して心を動かす。決して直接的な言葉や趣向ではなく、日本人らしく静かにさりげなく相手に対しておもてなしのメッセージをおくり、心をかよわせる日本の伝統文化です。

その場に最もふさわしい芸術品を飾り、凛とした空間をつくりあげる事に美を見出す・・・この独特な文化は世界でも日本だけです。

日本人が誇るべき美意識が詰まった掛軸の文化をこれからも後世に伝えていきたいと我々は考えています。



代表取締役社長
野村 辰二

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会社概要

会社概要

商号
株式会社野村美術
代表取締役
野村辰二
本社
〒655-0021
兵庫県神戸市垂水区馬場通7-23
TEL
078-709-6688
FAX
078-705-0172
創業
1973年
設立
1992年
資本金
1,000万円

事業内容

  • 掛軸製造全国卸販売
  • 日本画・洋画・各種額縁の全国販売
  • 掛軸表装・額装の全国対応
  • 芸術家の育成と、それに伴うマネージメント
  • 宣伝広告業務
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