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淡路島・洲本市のお寺から額の修理依頼 | 掛軸などの修理ご相談は野村美術まで
淡路島・洲本市のお寺から額の修理依頼
掛軸や巻物、欄間額や屏風、衝立などの美術品の修理修復をお願いしたいけど
「どこに頼んだら良いかわからない」
といったお悩みを良くお聞きする事がございます。
ひと昔前にはそういった美術品の修理などを請け負ってくれる表具屋さんというのが各地域に一軒くらいはあったんですが、時代の流れと共に和室や床の間の減少から需要が激減し少なくなっているのが現状です。なかなか見つけられなかったりするんですね。
もしあったとしても職人気質のお店の敷居が高くてなかなか気軽に相談できないといったお悩みがあったり、襖や障子を中心に表装をするお店なので美術品の修理修復は請け負っていないといったお店だったりと色々とお悩みがあるようです。
そんな時は是非弊社・野村美術にご相談ください。
弊社は創業50年の歴史を持つ企業であり、これまでも数多くの美術品の修理を行ってまいりました。
美術品の修理というのは非常に細かい専門的な技術と膨大な経験値を要する難易度の高い仕事になります。なかなか一朝一夕に対応出来るようになるものではないのでこの歴史というのは弊社の財産でもあります。
神社仏閣などの難易度の高いお仕事も数多くこなし、市の重要文化財の修復も手掛けた事がございます。
洗浄やシミ抜きに関しても数多くの実績があります。
仕立替の様子やシミ抜きの様子は是非こちらの動画をご参照ください。
豊富な経験と積み重ねた技術、幅広い知識を元にお客様の大切な掛軸をしっかりと修理させていただきます。
そんな弊社の事をHPでお探しくださり、今回兵庫県の淡路島・洲本市にあるお寺様から欄間額の修理依頼のご相談を頂戴いたしました。
弊社は兵庫県神戸市垂水区に位置しており、このエリアというのは主要な道路がほとんど通っていたり繋がっていたりするので兵庫県のどこに行くにも非常にアクセスが良いエリアです。
また、弊社は(一財)兵庫県学校厚生会の指定店でもあり兵庫県下にはくまなく営業活動をしておりますので遠方の方で自宅や職場などの都合の良い場所、時間帯に出張して欲しいというニーズにも対応しております。
淡路島にもこれまで幾度となくご訪問させていただいた実績があります。(沼島に渡った経験もございます。)
なので今回早速お寺の方にお伺いしてまいりました。
こちらがお預かりさせていただいた額です。(文字の部分はお寺に関する内容が書かれているのでプライバシーの観点からモザイク処理をさせていただいております。)
随分とボロボロに傷んでいますね…( ゚Д゚) 汚れがひどくてどす黒く変色してしまっています。
欠落している部分も複数ヶ所あり、裏打の紙がそのまま見えるような不自然な姿になってしまっています。
文字の部分も欠けてしまっていたり裂けてしまっていたりとなかなかひどい状態です。
今回お預かりした額というのはそのお寺の縁起に関する内容が書かれている作品でその寺院にとっては非常に大切な物。今後の行事ごとにも飾り檀家さんなどにもそのお寺の成り立ちや歴史の話をする際に使用されたいとの事なので出来る限りの修復を希望されておられました。
ただ、作品自体がボロボロの状態なのでシミ汚れなどを落とそうとすると不具合が発生するリスクがあります。そこらへんに関してはこちらの動画でお話しさせていただいております。
そこら辺のリスクもお話しさせていただいた上で、出来る限りの修復をお願いしますとの事でしたので修理作業の方を開始させていただきました。
修理の様子
まずは作品に接着されている古い裏打紙を除去していきます。和の美術品はそのほとんどに裏打という和紙を裏から糊で接着させ補強するという工程が行われているのですが、修理の際はそれらを全て除去しなければなりません。
糊で接着されているものなので水で接着力を弱めてめくっていくのですが、糊の接着力が強い場合(前回の表具で使用された糊が強力な場合)なかなかめくる事が出来ず、無理に力づくでめくろうとするとその裏打紙に作品自体が引っ付いてきてしまって破れてしまう恐れがあるので慎重にゆっくりと時間をかけてめくらなければならない非常に時間のかかる作業になります。
次に洗浄作業を行っていきます。専用の薬剤で汚れの成分を分解して洗い流していきます。この茶色の液体がすべて長年の汚れです。(薬剤は基本的に無色透明です。)すさまじい量の汚れが分解されているのがわかりますね。
洗浄で汚れを落とすと、次はシミ抜き作業に入っていきます。洗浄とシミ抜きは同じように感じられるかもしれませんが別物になります。衣服でも汚れは洗濯で落としますが、シミは洗濯では落ちないですよね。専用の漂白剤なりでシミ抜きを行うと思うのですが美術品でも同じです。それぞれ使う薬剤が異なってきます。
ただ先ほども言いましたが、シミ抜きはやり過ぎると不具合が発生してしまうリスクがありますので必要最低限にとどめておく事が大切です。今回は作品が非常にもろい状態でしたので一番低い濃度でのシミ抜きを短時間行うのみにとどめました。それでも最初と比べたら全然違うくらい綺麗に汚れが落ちているのがわかりますね。
作品のシミ抜きが終わったら新しい裏打を行います。こちらが新しい裏打が終了した状態の作品です。汚れが綺麗になったので描かれていた物が浮き上がって見えるようになったのですが欠落していた部分は新しい裏打紙がそのまま見えるような状態になってしまい非常に不自然です。
松の部分の欠落です。普通は旧裏打紙を除去する工程で最初からあった穴というのは広がる事がほとんどなのですが、今回はそれを防ぐ特殊な工程を一つ挟む事によりほぼ欠落が広がらない状態で裏打まで持ってくる事が出来ました。
こちらがお寺が描かれている部分なのですが完全に家がえぐれてしまっていますね・・・(汗)ここにどういった物を描きいれるかというのを何度も何度も下絵を作って修復師と打ち合わせを行い考えを擦り合わせた上で筆を任せました。
補彩を行った後の作品がこちらです。随分と自然な形になったのがわかりますね。
欠落していた部分の松も自然な形になりました。ただ欠けている所を描けば良いというわけではなく、地色の部分、つまり背景の名にも描かれていない茶色の部分の欠落も色を入れていかなければならないのが想像以上に時間がかかります。
補彩の際に筆に水分を含ませて描いていくのですが、水分を含ませすぎると作品に水分が浸み込んでしまいしまい黒ずんでしまう事もありますので出来る限り水分を切ってから描いていきます。当然絵具や墨は伸びないし薄くなるのでなかなか筆が進みません。これを何回も何回もひたすら繰り返しながら色調整も行いながら補彩は行われるので時間と労力が非常にかかります。費用の方も少なからずかかってきますが今回はその費用をかけてでも修復されたという事でしたのでお受けさせていただきました。
それでも弊社は修復師が自社内にいますので他に外注されていたりする所と比べると随分と価格的にはお安くさせていただいております。
この後、作品の余分な部分をカットして細い筋廻しと呼ばれる裂地を作品の周囲に貼っていきます。
その後、新しい額装に貼り込んで完了となります。この額装も弊社では創業より全国の美術品を扱う企業様に卸販売を行ってまいりましたので
全国の仕事を受ける
→材料が大量に必要
→仕入れ先より大量に一括購入
→仕入れ価格を低価格に抑える事が出来る
→お客様にも低価格でご奉仕できる
という流れがございますので今回の修復作業一連を通しても作業料や難易度、材料費などから考えると他社でされるよりも低価格に抑えられています。
表装修理完了
さて長い工程を経て修理修復の作業が完了いたしました。最初と比べて随分と汚れが無くなり綺麗になったのがわかりますね。
文字が欠けていた部分もしっかりと修復いたしました。これはそこまで大きな欠落ではなかったので筆跡を推測する事が出来たのですが、もっと沢山の文字が欠落していた場合は相当苦労していたか修復が不可能だったと思いますので今回は運が良かった方だと思います。
汚れも落ちて加筆も終了するととても自然な形に生まれ変わりましたね。(なんだかこれだけ見ると最初からこういった絵が描かれていたような気になりますね。)
納品
コロナの影響で仕上がってから納品まで随分と時間が経過してしまいましたが、先日無事に納品する事が出来ました。
お客様も大変喜んでくださり、時間が経っていたせいもあるのか最初の欠落の事を忘れられておられました…(汗)。まぁそれほど完璧に欠落していた箇所がわからなくなったという事で結果オーライだと考えるようにいたします。
これからの行事ごとに使ってくださるという事なので嬉しい限りです。今回はご依頼ありがとうございました。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 淡路島(あわじ市、洲本市、南あわじ市)で今回のような額、もしくは掛軸や巻物、衝立や屏風など美術品の表装修理に困られておられましたら是非一度弊社にご相談いただければと思います。出来る限りのご対応をさせていただく事をお約束させていただきます。(無理な場合は無理ときちんとお伝えもさせていただきます。)
もちろん修理だけではなくその他のお仕事も承っております。西国三十三ヶ所や四国八十八ヶ所などに関するご相談も承っております。
「新しい掛軸が欲しい」といったご要望にも全力でご対応させていただきます。
是非お気軽にご相談くださいませ。最後までお読みくださりありがとうございました。
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